生活習慣病とは
生活習慣病には糖尿病や高血圧、脂質異常症(高脂血症)など様々な種類がありますが、いずれも運動不足、過食、肥満といった生活習慣に起因しています。
日本では、食生活の欧米化や生活スタイルの変化によって生活習慣病が増加の一途を辿っています。悪化すると各症状がひどくなったり、動脈硬化を進行させて脳卒中や心筋梗塞などの重大な疾患に結び付いたりします。
そういった事態を招かないように、たとえ自覚症状が無くても、早めに生活習慣病を改善するための対策を講じましょう。
当院では10年以上に渡り、心血管疾患の治療に従事してきた循環器専門医が対応しております。心血管疾患に関連する高血圧、高脂血症、糖尿病の管理はもちろん重大な疾患への進展予防の経験が豊富です。
このような方はご受診ください
- ご飯を食べ過ぎてしまう事が多い
- 夜の遅い時間に何か食べてしまう
- 肉はよく食べるが、魚はあまり食べない
- 脂っこい料理、味付けの濃い料理が好きだ
- 野菜や果物を殆ど食べない
- ご飯を食べる時間が不規則だ
- お酒を飲み過ぎてしまう
- 定期的な運動を行っていない
- 身体を動かすことが少なくなってきた
- 以前と比べ、疲れやすくなった
- 睡眠不足が続いている
- タバコを吸っている
- 健康診断で血糖値や脂質の異常、高血圧などを指摘された
主な生活習慣病
高血圧症
血圧が正常範囲を超えて高い状態が続くことにより、徐々に血管が痛んでいく病気です。
現在わが国には4300万人の高血圧患者が存在するとされており、治療を受けている患者さんはその約半数の2400万人程度です。しかしながら、そのうち適切にコントロールされている患者さんはわずか1200万人とされています。高血圧は健康な人の将来の脳心血管病発症の最大の危険因子とされています。
適切にコントロールされることで脳血管障害を約40%、心筋梗塞を約20%減少することが証明されており、早期に適切な値にコントロールすることが推奨されています。
年齢などによっても異なりますが、健康な人の場合、最高血圧は130~140㎜Hg未満、最低血圧は85~90㎜Hg未満です。この数値が高くなると、様々な病気のリスクが高まりますので、お早めに治療を受けるようにして下さい。
●高血圧を放置すると脳卒中や心血管疾患、慢性腎臓病などに進展する可能性があります。
また、合併疾患の有無や年齢で降圧目標値や有用とされる薬物は異なります。
患者さん一人一人に合わせた適切な薬剤選択と目標値設定、生活習慣の指導を行いますので是非ご相談ください。
目標血圧(2019年高血圧診療ガイドライン)
診察室血圧(mmHg) | 家庭血圧(mmHg) | |
---|---|---|
75歳未満 脳血管障害患者(大きな血管に狭窄がない患者) 冠動脈疾患患者 慢性腎臓病患者(タンパク尿陽性) 抗血栓薬内服中 |
<130/80 | <125/75 |
75歳以上 脳血管障害患者(大きな血管に狭窄がある患者) 慢性腎臓病(タンパク尿陰性) |
<140/90 | <135/85 |
高脂血症
高脂血症は、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)や中性脂肪が慢性的に高い状態です。生活習慣の見直しや、適切な治療を行わないで放置していると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす引き金となります。そのため、まず食生活を改善します。動物性脂肪を含む食品を減らし、植物性脂肪を含む食品に切り替えましょう。
野菜やキノコ類など、食物繊維を多く含む食事は積極的に食べます。中性脂肪の値が高い方は、カロリーの摂取過剰に気を付け、お酒は控えるようにします。食事療法でもコレステロール値や中性脂肪値をコントロールできないときは薬物療法を併用します。
動脈硬化の危険因子は高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙など多様であり、包括的な管理が重要とされています。
高脂血症だけではなく様々な合併症や年齢を考慮して脂質の管理目標値を設定して患者さん一人一人に適切な高脂血症治療を心がけております。
(当院では動脈硬化疾患予防ガイドラインを参考に冠動脈疾患発症予測モデルを用いて管理目標値を設定しています。)
糖尿病
健康な人の場合、食事で摂取した糖質はブドウ糖に分解され、全身の細胞内に送り届けられ、エネルギー源として利用されます。食事によって必要以上の栄養分を摂取したときでも、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きによって血糖値が過剰にならないよう、バランスをとることが出来ています。
ところが、何らかの要因によって十分な量のインスリンが産生されなくなったり、産生されても適切に機能しなくなってしまうことがあります。その結果、血管内にブドウ糖が慢性的に過剰となる疾患が糖尿病です。
放置していると、血管の壁が傷ついて動脈硬化になったり、心臓病などのリスクが高まったりします。さらに進行すると、失明や腎不全、足の切断などで日常生活に大きな支障が出ることもあります。
糖尿病患者さんの死因は悪性新生物(がん)、感染症、心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞)が大半を占めるとされています。
当院では定期的な検査によりがんの早期発見に努めるとともに心血管疾患の予防に力を入れております。
最近までは良好な血糖コントロールを目指すことに主眼を置いた治療が主流でしたが、血糖値のコントロールを良くすることだけが治療の目的ではなく、心血管疾患をはじめとする糖尿病合併症への進展予防を目的とする治療が患者さんのその後の生活をより良くし、それが寿命を延ばすことに大きく寄与すると考えております。
当然使用する薬剤も合併症進展予防のエビデンスが豊富な薬剤が選択されるべきと考えます。
(近年、心血管疾患への進展予防に関して様々なエビデンスを擁する新しい薬剤が出てきております。)
当院では心血管疾患で苦しんでいる患者さんへの豊富な治療経験をもつ循環器内科専門医ならではの視点から心血管疾患予防に役立つ治療を提供できるよう心がけております。
痛風 / 高尿酸血症
ある日突然、足の親指などの関節が赤く脹れて激しい痛みが起こる疾患です。名前の由来については諸説ありますが、風に吹かれただけでも痛くなるため「痛風」と呼ばれるようになったと言われています。
強い痛みを伴う病気ですが、近年は研究が進んでよい薬も開発されています。医療機関で適切な治療を受け、生活改善を心がけることにより、健康的な生活を取り戻せるようになります。但し、痛風の方は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などを併発しているケースが多く見られます。そのような場合は、合併症の治療も同時に必要となります。
また、痛風の原因となる高尿酸血症はそれ自体が血管を傷つける原因になるともいわれ、心血管疾患のリスク因子の一つとされています。食生活の改善が中心にはなりますが食事療法でコントロール困難な場合は薬物治療を併用します。
睡眠時無呼吸
睡眠時無呼吸症候群はいびきや夜間の不眠、日中の眠気などが問題となると言われていますが、一方で高血圧や糖尿病との関連が指摘されており、その後の心血管疾患とも非常に深く関連するとされています。
現状診断が遅れて、重大な病気が起きてから睡眠時無呼吸に気づかれる事が多いですが当院では簡易検査を気軽に受けることができます。早期治療介入をし、取り返しがつかない状態になる前の治療をお勧めしております。
当院ではマスクを用いて睡眠時に圧力をかけた空気を鼻や口から送り込み、呼吸をサポートする治療法である持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)の管理も行っておりますのでいつでもご相談ください。
生活習慣病予防について(1次予防、2次予防)
脳卒中や心筋梗塞など心血管疾患が起こる前の予防的な生活習慣病管理を1次予防と呼んでいます。また、病気が起きた後の病気の進行や再発予防のための生活習慣病管理を2次予防と言います。
1次予防と2次予防では高血圧、高脂血症、糖尿病の治療の目標値や有用とされる薬物が違うため、適切な目標値設定と、薬物選択が大切とされています。
当院では心血管イベントの発生を最小限にするよう注力してまいります。